「歯の汚れを一回で全部取ってくれないか」「なぜ歯石とりに何度も通院しなければならないのか?」といった相談をよく受けますです。
中には「歯科医院がお金儲けのために回数をかけているのじゃないか」と考える方もいらっしゃるようですが、決してそんなことはありません。
保険診療においては、歯の汚れ取りは一本いくらと決まっており、時間や回数をかけても歯科医院が余計に儲かることはありません。
当院でも、患者様の不満は十分理解をしておりますが、歯周病治療に真摯に取り組むゆえ、初めて当院にいらした方(別の歯科医院で正しいPMTCなどの予防処置を受けてきた方を除き)には時間と回数をかけ、しっかりと歯石を除去しています。
なぜ歯石除去には回数がかかるか?
歯石除去を汚れ取り・クリーニングと軽く考えがちですが、歯石の除去はお口の中の健康を獲得する上において必要不可欠な歯周病治療の一つです。エステ感覚で歯の表面の着色をきれいにするのとは違います。
歯周病治療には世界的にコンセンサスの得られた適切な手順や流れを定めたガイドラインがあります。
正しく歯周病治療を行う場合は、まずはレントゲンや歯周ポケット検査を行い、どのくらい骨が溶けているか、どこに歯石がついているかなど、診査診断をおこないます。
そしてブラシングの状態を確認し、歯石の量や歯肉の回復等を診ながら、適切な期間・回数をかけて歯石を除去していきます。
また、歯磨き指導も重要な治療の一つです。仮に半年に一度通院し汚れをとっても、毎日のブラッシングがいい加減では歯石はすぐに溜まってしまい、歯周病は進行してしまいます。
正しい手順を踏んで、正しく歯周病治療を行なうと、どうしても時間や回数が必要になってしまいます。
それでも一回で取りたい・回数をかけたくない方へ
「ちゃんと歯科医院に行って、年1回30分程度で歯石を取ってもらっている」という方をたまにお見受けします。
歯磨きの状態や歯石の付いている量にもよりますが、一年以上放置した状態で一回で汚れを取るのは物理的に不可能です。実際にそういった通院履歴の方の口の中を見ると大量の歯石が沈着していることが多くあります。
また表面の汚れはあまり目立っていなくてもレントゲンを取ると歯根に歯石がたくさんついていることも多々あります。